こんにちは、広告運用を軸にマーケターのキャリアを作るマサユキです(fa-twitter@masa_blogra)
本記事では、Webマーケターの広告代理店から事業会社への転職について解説します。
Webマーケターのキャリアを広告代理店から始める人は多いですが、ある程度経験を積むと事業会社に興味が湧いてくるタイミングがやってきます。
・広告代理店から事業会社への転職ってどうなんだろう?
・市場価値、キャリア的な面から見たらどうなのだろう?
おそらく、このような疑問を持つはずです。
実際に転職した僕の意見としては、市場価値とスキルが大幅に向上したため事業会社への転職は大正解でした。
Webマーケティング、ならびにマーケティング戦略全体像に関わりたい人には、とてもおすすめのルートです。
本記事ではWebマーケターのみに焦点を当てて両社を比較していきます。
実際に広告代理店から事業会社に転職した僕の実体験を交えつつ、転職を考えている人の参考になればと思います。
事業会社に行くメリット
広告代理店と事業会社の比較
事業会社に転職しないほうがいい人
- 広告運用歴は2014年~
- 支援会社、事業会社の両方でマーケティング
- マーケのキャリアは広告運用→BtoBマーケティング全担当
- 副業で広告運用講師、コンサル会社で広告運用、海外の会社でマーケティング
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とにかく求人数が豊富なので、マーケ未経験・経験者のどちらにも必須なサイト。
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大手から中小のマーケティング系がとても豊富で、ある程度経験がある人向け。
事業会社に行くメリット
事業会社に行くメリットは3つあります。
事業全体を見渡せる
事業会社は、売上に関係するほぼ全ての工程に関わることができます。
ハウスリストへのアタック、サービス開発、顧客など、広告代理店(社外の人間)では立ち入ることができない深い部分にまで入り込めます。
全体像が見えるというのはとても重要で、マーケティングの仕事は会社にとってどのような立ち位置であるのか再認識できます。
キャリアとスキルの幅が広がる
事業会社は多くの工程に関われるため、ビジネスの全体像が見えやすくなります。
- マーケティングの精度を上げるためのデータ環境の整備
- 営業活動を効率的にするための運用ルール設定
- 他部署を巻き込んだプロジェクトの監督
など、事業全体を俯瞰して管理、施策実行する経験とスキルを得ることができます。
全体を管理できる人材となるため、キャリアとスキルの幅が大きく広がります。
僕は事業会社に転職する前後で他社からもらうオファーが、広告運用者→マーケティング責任者系へと変化しました。
代理店特有のストレスから解放される
事業会社は広告代理店特有のストレスは少ないです。
代理店のストレスは具体的に下記のようなものです。
- 決定権が自分たちに無い
- 常に納期、成果、ミス防止との戦い
- 社外の人間ならではの疎外感
広告代理店のストレスは、どこまで行っても社外の人間である点に集約されます。
社外の人間だからこそ、アンコントローラブルな状況で動き続ける必要があります。
楽しいことは多いものの、同じかそれ以上に大変なものが多いはずです。
事業会社でも成果は求められますし、また別の苦労はあります。
ただし、あらゆることの決定権は自分達が握っているためコントローラブルな状況を作りやすいです。
広告代理店と事業会社の比較
広告代理店と事業会社の違いをザックリとまとめました。
広告代理店も会社によって業務領域が異なるため、最も多いと思われるパターンを選定しています。
広告代理店 | 事業会社 | |
ミッション | クライアントの成果最大化 | 自社サービスの成果最大化 |
業務内容 | 広告、SNS、LPO、インハウス支援 | 広告、SEO、SNS、LPO、MA、CRM、セミナー、展示会、予算取り、社内交渉 |
重要事項の決定権 | 無し | 有り |
ミッション
広告代理店は、クライアントの成果を最大化するのがミッションです。
問合せ数の向上、知名度向上などクライアントによって目的は千差万別ですが、広告代理店なので広告を軸にした施策が大部分を占めます。
マーケティングの全体最適化はあまり求められず、徹底的な部分最適化が重要です。
また、クライアント側の希望に沿っていく必要があるため、無茶な要望でも何とかして突破口を見つけていくタフさが必要です。
事業会社は、自社サービスの成果最大化がミッションです。
成果最大化というと抽象度が高いですが、その時のマーケティングの課題によってやるべきことは大きく変動します。
一部領域を最適化をしつつ、マーケティングの全体最適化が重要です。
業務内容
一部のチャネル経由のリード獲得(一次問合せ)に付随するもので占めています。
資料問合せ、サイトのアクセス、サービスの認知度向上など、リードを獲得する「前」段階に必要なものが多く、部分最適化が求められます。
逆に、リードを獲得した「後」の商談の最適化、受注の最適化、顧客のロイヤルティ向上、などに関与することは少ないです。
事業会社の業務は、ほぼ全てのチャネルからリードを獲得し、さらにリードの「後」にもリソースを割いていきます。
そのため、業務領域は広告代理店より広くなる傾向にあり、なおかつ全体最適化を常に考える必要があります。
逆に、広告代理店ほど特定領域へのノウハウは無く、そこに避けるリソースもあまり無いはずです。
重要事項の決定権
広告代理店は提案と施策の実行はできますが、重要事項の決定権はありません。
細かい施策は自由にできますが、マーケティングのコアとなる部分は管理不可です。
現場とクライアントの要望の板挟みになることも多く、結構辛いはずです。
事業会社は自分達に決定権があるので、ゼロから実行まで一貫して行えます。
自由に施策を選定できるのは面白いですが、予算取りや社内交渉の頻度が多く施策実行まで時間がかかることも多いです。
その分責任が伴うため、施策の選定は慎重に行う必要があります。
広告代理店と事業会社の業務比較
スキルのBefore/After
事業会社に転職しないほうがいい人
事業会社へ転職する前に身に着けたいスキル
広告代理店にいる人が事業会社へ転職する前に身に着けた方が良い知識を3つ紹介します。
- 今の専門分野での十分なスキル
- 専門分野以外の知識
- より上位のマーケティング戦略の知識
今の専門分野での十分なスキル
広告代理店の仕事、つまり「今現在の」スキルをしっかりと伸ばしましょう。
広告運用者であれば、媒体の管理画面の細かい仕様の把握、自分なりのフレームワークの構築などです。
最優先で身に着けたいのは、どの案件でも成果が出せる勝ちパターンを見つけることです。
一度このパターンを見つけてしまえば、商材が変わろうが機能がアップデートされようが、成果を出すのはそこまで難しくなくなります。
そして、経験業界の種類、大規模予算経験、リーダー経験などしっかりと場数を踏んでいきましょう。
ここが今後のキャリアを構築するコアスキルになってきます。
専門分野以外の知識
要するに、コアスキル+αのαです。
広告運用者であれば、LPO、SEO、アクセス解析、ライティング、デザインなどです。
会社にもよりますが、事業会社では今まで経験しなかった領域の仕事が来る可能性も高いため、スキルの横の幅が広いほうが良いです。
僕の場合ですが、Webマーケは全て業務領域になり、なおかつより上位の戦略企画、プロジェクトマネジメントなど、未経験領域の横の幅のスキルを要求されています。
個の知識をつけるには、Udemyなどのオンライン講座などで学習し、副業・本業で実施すると良いです。
上位のマーケティング戦略の知識
上位の知識というのは、企業がビジネスを推進していく上で必要な考えや、それを実行するためのフレームワークです。
事業会社では全体最適化を強く求められるため、全体像を俯瞰して見れる知識が無いままでは各チャネルを最適化するミクロな部分から抜け出せなくなります。
現場の社員というより上位レイヤーが持つ知識ですが、この知識があると視座が上がって施策に新しい解釈を加えることができるようになります。
この知識を得るには、マーケティングや組織論の定番の本を読めばOKです。
事業会社に行って戸惑う所
代理店と事業会社では、仕事の考え方と進め方が異なって最初は戸惑うこともあると思います。
代理店はマーケティングをする前提で動きますが、事業会社はそもそもマーケティングをやる必要があるのか、から話が始まります。
動き出した後も、常に様々な部署との交渉や許可を取る作業が発生します。
これは僕の経験の範囲内の話になるので一概には言えないのですが、広告代理店と事業会社の業務ボリュームを「人との調整」と「実際の施策」の2つに分けてみると下記のように比率なります。
- 広告代理店 → 人:施策 = 2:8
- 事業会社 → 人:施策 = 5:5
よく言われますが、事業会社でマーケティングをするには社内調整力がキモになります。
僕も事業会社に入社して3か月くらいは、今までの仕事の進め方とギャップが大きかったのでかなり苦労しました
マーケティングの存在意義である施策立案&成果最大化を達成するためには、多くの人と巻き込まなければいけないことを認識しておきましょう。
広告代理店→事業会社の転職はメリットが多い
代理店で一定の経験を積んだ人の次のステップとして、事業会社への転職はとてもおススメです。
代理店での経験を活かせるだけでなく、不満を解消できる可能性も高いと思います。
本記事では僕の経験に沿って広告代理店→事業会社について解説しましたが、逆パターン(事業会社→広告代理店)にも同じことが言えます。
得意分野や専門領域を更に強化したい、常に業界の最新情報に触れたい、様々な業界に関わりたい人であれば代理店は非常におススメです。
つまり、広告代理店と事業会社に優劣は一切なく、自分の欲しいスキル・キャリア・働き方によって価値は大きく変わってきます。
理想はどちらの立場も経験することで、違う立場の気持ちを理解でき、なおかつ成果を出してきた人は市場価値も高いはずです。
これを読んだマーケターの人の参考になればうれしいです。
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